CULTIVATE UKULELE D0M ソプラノウクレレ #24018
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1910〜20年代、Martinがボストンの楽器販売会社Oliver Ditsonのリクエストに応える形で製作していたドレッドノート型のソプラノウクレレをモチーフに、カルチベイトウクレレならではのアレンジを加えた当店オリジナルのソプラノウクレレです。
長野県松本市にある当店が企画し、お隣の長野県塩尻市にあるT's Guitars (ティーズギター)さんで製作していただきました。
<仕様について>
ナット幅35mm、スケール345mm、一般的なMartinタイプのソプラノウクレレです。
ディットソン型のボディは、通常のFigure 8 (数字の8)型のボディに比べてくびれが少なく、ボディ内容積が増えることでFigure 8 型よりも中低域が豊かでふっくらとした音色になる特徴があります。
ボディはアフリカンマホガニー単板、ネックもアフリカンマホガニー、指板はローズウッド、ブリッジはパーフェロー、ナット&サドルはデルリン。
パッと見た印象はヴィンテージな雰囲気ですが、演奏性・操作性はしっかりと現代的に使いやすくアップデートしてあります。
具体的には
◎1F付近が極端に薄い本家(ヴィンテージMartin)よりも1mmほどネックが厚くなるように設計してあり、握りの安定性を向上。
◎本家は12フレットまでしかありませんが、3弦開放のド(C4)から2オクターブ上のド(C6)まで一応出せるように指板を15Fまで延長。
◎セーハなども少ない力でしっかり押弦できる背の高いフレットを選択。
◎低めの弦高は弾きやすい反面、音にハリがなくなってしまいがちなのですが、弾きやすい低い弦高でもしっかりと粒だちの良い音が出る設計。
◎ハイフレットでも正確な音程で美しいハーモニーが出せるようにオフセットサドルを採用。
◎音程面で有利なフロロカーボン弦を使いたくて、でもフロロのキンキンしがちな高音域をマイルドにしたくて、ナットサドルには一般的な牛骨ではなくデルリン(ポリアセタール)を選択。
◎使い勝手を重視して、チューニングが快適なゴトーUPTペグを搭載。見た目や重量を考えてウェーバリーのフリクションやペグヘッズも候補にあがりましたが、コストと使いやすさを考えるとこのモデルにはUPTがベストと判断しました。
<装飾について>
本家同様にロゼッタの飾りのみのシンプル仕様。極力装飾をなくして価格を抑えました。
本家のStyle-0は7Fのポジションマークがシングルですが、ダブルに変更。指板上のマークは極小サイズですが、指板サイドにもポジションマークが入っていますので演奏時の視認性は問題ありません。
<塗装について>
1920年代のヴィンテージ3Mのようなやや赤みのある茶色に着色した、極薄のトップラッカー・セミグロス仕上げ(グロスのようにテカテカではなく、かといって艶消しほどマットではない見た目)となっております。
「極薄」というのは、楽器の鳴りを妨げないよう塗膜を極力薄くするため、下塗りと目止めをして上塗りのラッカーを吹きっぱなしにしてあるということです。
デメリットとしては、塗装面が鏡面仕上げのようにフラットではなく、導管部分が目痩せ(塗料が木の凹凸に沈みこむこと)により若干凸凹して見えたり、まれに目止めが道管を完全に埋められずピンホール(塗膜に穴が開くこと)になったりすることがあります(このあたりはヴィンテージ感のある仕上げということでご理解のうえご購入をお願いいたします)
<弦について>
弦はこのウクレレの魅力を最大限に引き出すため、特別に組み合わせたオリジナルゲージのフロロカーボン弦を採用しています。細めなので弦を押さえやすく(=弾きやすい)、楽器がよく響きます。細めの弦はオクターブピッチも狂いにくいので、音程の面でも有利です。フロロ弦はナイロン弦に比べて温度変化によるチューニングの狂いも少ないので、扱いやすいというメリットもあります。
一般的に無機質でケミカルな印象の強いフロロカーボン弦ですが、このセットは比較的ナチュラルでオーガニックな音色になっています。
<音色や弾き心地について>
マホガニーのソプラノウクレレらしいコロコロとした素朴な音色で、低音域がすっきりしていて明るく軽やかな音質が特徴です(太い音だったり、迫力のある低音を求める方には予算が許せばSeilenやSUMI工房といった個人製作家さんの楽器をおすすめします)
重量も約340gと軽量で抱えやすく、音も軽やかに鳴ってくれます。ジャカジャカ弾いて良し、しっとりとソロスタイルも結構いけるソプラノウクレレに仕上がったと思います。
弾きやすいネックやフレットの形状、フレット端のエッジ処理、正確な音程でハイフレットでも気持ちよく弾ける、ヴィンテージMartin Style-3のような赤みがかったマホガニー色の見た目などなど、予算内でできることはすべてやり尽くしました。
いくら音色が良くても、いくら見た目がかっこよくても、弾きにくい楽器は自然と手が遠のくものです。弾いていてストレスの少ない楽器というのはそれだけでとても価値があるものだと思います。
これまでたくさんのウクレレを見て、触れて、弾かせていただいてきた私のウクレレへの情熱と愛情の詰まった、自信を持っておすすめできるソプラノウクレレ。
喜びと、誇らしさと、少しの心配が入り混じった、我が子を送り出す親のような気持ちです。
天塩にかけて育てた我が子を、皆様どうぞよろしくお願い致します。
<ブランド名>
CULTIVATE UKULELE(カルチベイトウクレレ)
<モデル名>
D0M(ディーゼロエム)
<スペック>
サイズ:ソプラノ
ボディ材:アフリカンマホガニー単板
ネック:アフリカンマホガニー
指板:ローズウッド
ブリッジ:パーフェロー
ポジションマーク:5・7・10
ナット&サドル:デルリン(ポリアセタール)
ペグ:GOTOH UPT シルバー/アイボリーボタン
フレット:12Fジョイント/15F
ナット幅:約35mm
スケール:約345mm
弦高:12フレット上で約2.6mm
重量:約340g
塗装:トップラッカー(セミグロス仕上げ)
ケース:別売り
ー オリジナルウクレレ開発裏話 ー
当店で扱っているウクレレは主に日本国内の個人製作家さんが製作したウクレレで、価格はだいたい15万円以上。
中国製なら5,000円で買えるものも存在するので、ウクレレで15万円?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
ウクレレ製作には非常に多くの工程があり、しかもそのほとんどが職人さんの手仕事で、製作期間も1〜数ヶ月、月に数本〜多くても十数本しか作れない、しかも楽器用の良質な木材(トーンウッド)は高価である、などなどを考慮すると(仕様にもよりますが)販売価格15万円というのはかなり良心的な価格設定だと個人的には思っています。
当店でご紹介している製作家さんのウクレレは間違いなく良いものなので、どうにか予算を捻出していただけるのであればそちらをおすすめしたいところではありますが、「10万円以内で」というご要望をいただくこともしばしばあり、その気持ちもとてもよくわかります。
私はこれまでたくさんのウクレレを見て、触って、弾かせていただいてきました。そしてたくさんのウクレレ愛好家、ウクレレ製作者の方とも情報交換してきました。
そうした自分の経験を活かし、価格を10万円以内に抑えながら個人製作家の方々が作るウクレレにも引けを取らないような魅力的なウクレレを作れないだろうか?と考えたのが開発のきっかけです。
製品をプロデュースするにあたって、どうしても譲れない部分がいくつかありました。「弾き心地の良さ、音色の良さ、見た目の良さ、コストパフォーマンス」このどれかが自分の中の基準を満たせないのであれば、自分がやる意味がないのでこの企画自体をキッパリ諦めようと思っていました。
(もうひとつの重要な要素「作りの良さ(品質)」についてはティーズギターさんにお願いすると決めた時点でクリアしていると考えていました)
ティーズギターさんと打ち合わせを重ね、できること、できないこと、できるけど予算的に難しいことなどがわかってきて、仕様がどんどん固まっていきました。そして「すごく良いものができそうだ!」という気持ちが日に日に強くなっていきました。
企画から1年半が経ち、ついに完成したウクレレは、当初私が思い描いていたコンセプト通り、いやそれ以上に素晴らしいものになったと思います。
このウクレレが、多くのウクレレファンに愛していただける製品になることを心から願っています。
最後に、ご協力いただきましたすべての皆様に心から感謝いたします。
カルチベイトウクレレ
西野耕一郎
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