Rin Hayase(早瀬ギター工房)UK-Kuwa.Orntl ソプラノウクレレ #23059
¥220,000 税込
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Tokyo Handcraft Guitar Fes 2023 出展モデル
ビルダーの早瀬輪さんは、長野県上田市の名工・鷲見英一氏のSUMI工房で経験を積み2016年に独立。
現在は大分県竹田市に工房を構えアコースティックギターやウクレレの製作をされています。
今回入荷したのは、Tokyo Handcraft Guitar Fes 2023 で展示されていた「桑」のソプラノウクレレです。
このウクレレに使用しているのは国産の桑材。
桑は日本の美術・工芸の分野において多く用いられてきた銘木で、琵琶や三味線といった楽器にも使われてきた材です。
個人的にホンジュラスマホガニーやハワイアンコアで作られたウクレレも大好きですが、海外産の貴重なトーンウッドを使うということは、持続可能性(サスティナビリティ)の面で問題を抱えているのも事実です。
日本の豊かな自然が育んだ良質な木材資源を、たくさんの経験を積み重ねて磨いてきた技術を駆使して、職人が手間暇をかけて一本ずつ丁寧に作る。
SDGsの流行でこうしたコンセプトの楽器も増えてきたと感じていますが、いくらコンセプトが素晴らしくても楽器として良いものでなければ意味がありません。「音や弾き心地はイマイチだけど、社会貢献できるウクレレ」は私としてもおすすめできません。
セイレンさんのタマナウクレレや、Sumi工房さんのあんずウクレレなどもそうですが、このウクレレも楽器としてのクオリティが非常に高いので、自信を持っておすすめできます。(こういった楽器を作れる製作家さんは本当に貴重だと思います。)
話がそれましたが、ここからは外観について。
ボディの桑は明るめのコアのような色味で、キラキラとした細かい杢が入っています。すべて手作りの寄木細工やバインディング(ボディ外周の飾り)に使われているブラッドウッドの赤がデザインのアクセントになっています。
和洋がバランスよく融合したオリエンタルな雰囲気の美しい装飾、木のぬくもりを感じる手触り、工芸品のような魅力があります。
芸術家のご両親のもとに育った影響で幼少の頃からものづくりをしていたそうで、早瀬さんの作品からは付け焼き刃ではない染みついた芸術性を感じます。品のある、繊細で、静謐な佇まい。そんなイメージです。
桑は経年変化で色が飴色に変わっていく木材です(写真参照)。最初は明るい色味ですが、使っているうちにだんだんと飴色に変化していき、音色もそれに合わせてどんどん深みを増していきます。長く使用することで味わいを増していく、そんな民藝品のような一面もあるウクレレです。
以上は見た目についてでしたが、ここからは弾き心地や音色について。
まず演奏性。
楽器の基本的な設計(特にフレットの幅・高さ、指板厚など)はSUMI工房直伝ということでとても弾きやすいです。ボディサイズはMartinのソプラノとほぼ同じです。
ナット幅が37mmとやや広めですが、弦間ピッチ(弦と弦の間隔)は普通なので、普段35〜36mmを弾いている自分でもとくに弾きにくさは感じませんでした。手に馴染むしっかりめのネックは握りの安定性がよく、ソロウクレレなど単音弾きにも向いていると思います。
ちなみにハワイのコアロハもナット幅37mmですし、個人製作家ではクラフトムジカさん、アンセスターズさんのウクレレも37mmですので、それほどイレギュラーな仕様ではありません。
次に音色について。
スケールは349mmとソプラノスケールよりほんの少し長めにすることで、ソプラノの弱点であるピッチの安定性、音のハリ、サスティーンを向上させています。
14Fジョイント仕様なので、ハイポジションも演奏しやすいですし、サウンドボード(トップ板)の中心近くにブリッジが配置されることでボディがとてもよく響きます。
一際目を引くスロテッド・ヘッドは大きく重そうに見えるのですが、穴があいている分軽くなるので実際に構えてみると意外にバランスが良いです。
ちょっと長めのスケール、スロテッド・ヘッドの恩恵でソプラノにしては弦のテンションが良い感じになり、音に張りがあってよく伸びるソロウクレレ向きの楽器になっている印象です。
桑はマホガニーよりは硬く、コアよりは柔らかい木材なので、音響特性もそれらの中間的な感じでバランスがいいです。
硬質で倍音豊かなウェンジ材を指板とブリッジに使用することで、煌びやかさ、華やかさがプラスされていると感じます。
デザイン、音色、弾き心地、すべてにおいてレベルが高く、自信を持っておすすめできる1本です。
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製作家 早瀬輪さんからのメッセージ
今回のウクレレは、桑の楽器材としての魅力を知っていただければと思い、自分なりにデザインにも拘って製作したものになります。桑は日本の琵琶や木魚、あるいは中東や中央アジアなどの弦楽器にも使用され、楽器材としてはすでに長い歴史があります。
音色は暖かさとハリの両方を備えているイメージで、ウクレレ材としても十分な可能性を感じています。加えてその外観の美しさも魅力です。仕上がったばかりの頃は明るいキラキラとした黄色ですが、時が経つに連れてその色合いは飴色へと変化していきます。その色合いの変化と音色の深まりが歩調を合わせていく感じも魅力だと思います。
デザインについては、桑ということでなんとなく頭の片隅にあった中東、中央アジアのイメージが日本と繫がって、シルクロードのイメージとなり、そこからオリエンタルな雰囲気が合うのでは、と思ったことから生まれています。
外国の素晴らしい材を使い、それでしか出せない音色や雰囲気を作り出すのも素晴らしいのですが、自分の住んでいる土地で育った材を使って音を作り出すのもまた同じように素敵なことだと思っています。
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およそ130年前、ハワイに渡ったポルトガル移民の家具職人たちが現地の銘木(ハワイアンコア)を使ってウクレレの原型を作りました。その後ウクレレはアメリカ本土に渡り、1916年にMartinがマホガニーを使ったウクレレを作り始めました。そして約100年を経て、日本の製作家たちが日本に自生する銘木を使ってウクレレを作り始めます。
日本の楽器業界はブランド志向が強く、ホンジュラスマホガニーやハワイアンコアといった海外産の貴重なトーンウッドで作られたウクレレの方が好まれる傾向があります。理由は簡単で、有名な木材を使った方が高くても売りやすいからです。
そのため森林資源はどんどん減っていき、昔と同じようには使えなくなってきています。そのうち枯渇してしまうことでしょう。この旧態依然なやり方はまったくサスティナブルではありません。
そういう意味でも、こうした日本の素晴らしい木材をもっと広めていきたいと個人的に思っています。楽器製作で本当に重要なのは、材ではなく「誰が・どのように作ったか」なのです。
【スペック】
サイズ:ソプラノ(14フレット・ジョイント)
ボディ材:九州産山桑 単板
ネック:九州産山桑
指板:ウェンジ
ブリッジ:ウェンジ
ヘッド突板:インディアンローズウッド
ボディバインディング:ブラッドウッド
ボディパーフリング:ウッド(シナ、ブラッドウッド、インディアンローズウッド)
ポジションマーク:寄木(ブラッドウッド、メイプル、インディアンローズウッド、シナ、ウェンジ)
ヘッドインレイ:Rロゴ(白蝶貝)
ローゼット:ウッド
(インディアンローズウッド、ブラッドウッド、シナ)
ナット&サドル:牛骨
ペグ:GOTOH SEP780 ゴールド
フレット数:14Fジョイント/19F
ナット幅:37mm
スケール:349mm
弦高:12F上で1弦側 約2.5mm・4弦側 約2.6mm
塗装:ラッカー(半艶仕上げ)
弦:EJ99SC(フロロカーボン)
シリアルナンバー:23059
ケース:ハードケース付属(キクタニ UPC-10N)
◎保証について
早瀬ギター工房は保証書を発行しておりませんが、適切な使用にも関わらず発生した製造上の問題に起因する自然故障や不具合に関しましては、購入日より1年間を保証期間として当店が責任を持って対応致します。保証期間に関わらず、何かお困りの際はお気軽にご相談くださいませ。
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